人や社会に向き合う学びが立教らしい「経営学」——学部長インタビュー

経営学部長 有馬 賢治

2026/06/29

教員

OVERVIEW

予測困難な時代、リーダーシップを発揮し、多様化する国際社会に貢献する人材をどう育成すべきか?「人」にフォーカスし、独自の教育を実践する経営学部長に、その取り組みを聞く。

—— 立教大学経営学部(以下、立教経営)の特徴を一言で表すとなんでしょうか。

「人」です。従来の一般的経営学のように、「企業活動」に注目するのではなく、企業の中で働く人にフォーカスを当てているのが大きな特徴となります。

立教大学が経営学を教える意味を考えたとき、私たちは建学精神である「Pro Deo et Patria(神と国のために)」——「普遍的なる真理を探究し、私たちの世界、社会、隣人のために」と解釈しています——という言葉に立ち返ります。自社の利益のみを追求するのではなく、社会への貢献や、働く社員の幸せをも視野に入れた経営、それこそが立教経営の捉える「善き経営」であり、こういった倫理観の形成も含めた人材育成に、私たちは力を入れたいと考えています。

—— 立教経営は特に「リーダーシップ」教育を重要視されています。いまの時代に必要とされる「リーダーシップ」とはどういったものでしょうか。

一般にリーダーシップと言うと、一人の強いカリスマが組織を率いていくというイメージがありますよね。しかし、価値観が多様化し、不確実性も高まる現代。理想とされるのは、メンバーそれぞれが、自分の個性を生かしながらリーダーシップを発揮し、変化に柔軟に対応できる組織です。

そして、この場合のリーダーシップとは、命令で人を動かしていく力強い統率能力ではなく、相手の意図を汲み取りながら最適な進め方を考え、周囲を導いていく姿勢や能力を指します。

—— そのようなリーダーシップは、どうすれば身につけられるのでしょうか。

私たちは、PBL(プロジェクトベースドラーニング)と呼ばれる学習方法を採用しています。「課題解決型学習」とも呼ばれますが、この手法では座学で「リーダーシップとは」を教え込むのではなく、テーマと課題を与え、学生自体が議論やリサーチを重ねて最適解をつくっていきます。

主体的に考え、学ぶ姿勢が培われるだけでなく、それぞれが対等な立場で、自分らしさを発揮しながら協力し、目標達成を導くという学習過程を通じて、「協働的リーダーシップ」というべき力を体得することができます。

—— 立教経営では、経営学科に加え、国際経営学科もありますね。こちらの学科の特徴はなんでしょうか。

現代は、多くの企業が国際的なコミュニケーションや取引を行う時代です。こうした環境を踏まえ、私たちは「英語で経営学を学ぶ」という方針を掲げています。目的は、英語力そのものを身につけることではなく、英語を手段として経営学を学び、グローバルな場で実践的に力を発揮できる人材を育てることです。そのため授業では、英語によるプレゼンテーションやレポート執筆など、実務を意識したアウトプットを重視しています。

—— 最後に、学部長として、今後取り組んでいきたいことがあれば教えてください。

生成AIを、授業の中でより実践的に取り入れていきたいと考えています。その影響力に懸念を示す声もありますが、生成AIの浸透スピードはそれ以上に驚異的です。だからこそ、使用を一律に制限するのではなく、どんな場面で役立ち、どのような使い方が危険なのかを理解したうえで、情報の真偽を確かめたり、目的に応じて適切に指示を出したりできる力を、学生たちに身につけてもらいたいと考えています。
※本記事は「2026年度発行の経営学部 学部案内」をもとに再構成したものです。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

プロフィール

PROFILE

経営学部長 有馬 賢治

1992年、早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得。2007年より、立教大学経営学部経営学科教授を務める。2026年、同学経営学部長に就任。マーケティングを理論的、多面的に研究、教育、発信している。近年の研究テーマは、所謂「マーケティング・ミックス」とよばれる企業の使用可能な手段の資源配分の実態と企業の意思決定の関連性などに関する分析である。

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